スモーキー・ブルースカフェ

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レクイエムの名手/菊地成孔 を読んだ

年末に買って本日読了。

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まず特筆すべきは、菊地さんの本の中ではとても読みやすい本と言える。

これは菊地さんの文が読みにくい!という批判ではなく、菊地さんの独特の文体と羅列される日常離れした言葉は僕の様に文学リテラシーの低い人間にとって、中々苦戦するという事である。
(それでも僕は菊地さんの文を読み続ける訳でその点は決してマイナス作用はしていない。)

この本はラジオで喋った事を文に起こしていたりもするので、ただの執筆物より明快だったりする。

とにかく読みやすくスッと入ってくるから菊地さんビギナーの方はこの本から入って欲しい。

発売当初は「追悼文集」という一見重いテーマに距離を取っていたが、近所の本屋に置いてあったのをサラッと立ち読みしたところ、「三沢さん、清志郎さん、カールゴッチ等、、、」とても興味深い人物の名前が羅列されていたのと、とっつきやすい文体に惹かれて、菊地さんの著作としては初めて店頭で購入した。

読み始めるとサラサラ進んだ。


まず第一に言いたい事として、「追悼文集」と聞いてファーストインパクトで誰もが感じるであろう重さはほぼ無い。

最初は読んだらブルーになる様な暗い文ばかり並べてあったらどうしよう。。。
と思ったりもしたが、そこはさすが菊地さん。
(まあ、現在ラジオやブログを完全に抑えている身として、ある程度の感じはつかめていたが、やはり一冊丸々となると、少し心配はあった。)

一言で表すなら、この本という菊地さんの追悼文や言葉は「故人の解説、感覚、愛」で出来ている。


ただ悲しんだり悔やんだりするのではなく、その人を理解し、自分との距離と質感を理解、その人への愛をも理解し、それを、表明している。


数多く目にしている訳ではないが、ここまで絵になる追悼文というのは中々無いのではないか?。


悲しいと思わせる前に、その人の凄みを感じさせてくれる。

そして菊地さん本人がその人をどれだけ愛していたかを感じさせてくれる追悼文達は今まで読んできた菊地さんの本のどれよりも自分の心に刺さったかもしれない。


それもそのはず、自分の事だけではなく、2人の人間のエピソード及び生き様を書き表しているのだから。

とにかく、「追悼文」という重さとイメージに引っ張られず多くの人に読んでもらいたい本です。

そして、もしも何かの時はこんな粋で愛に溢れたレクイエムを自分も奏でられたら良いなと感じたりもしまた。
というと浅はかですが、菊地さんの様な距離感と視点で人と接し、愛するのはとても豊かで面白いだろうなと感じました。