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33年後のなんとなく、クリスタル感想

前回まとめてレビューしようかと思ったのですが、意外と筆が進んだので分けました。

ということで今回は通称「今クリ」こと「33年後のなんとなく、クリスタル」について。




題名通り前作の33年後を、すなわち現在を描いています。

特筆すべきは主人公の名前が「ヤスオ」である事。

しかも設定は田中康夫先生そのものなんですよね。
そして前作の主人公ユリとは元恋人という間柄。

これって全て実話だったのか?と考えたりもしたけど冷静に考えたら違うか。
いや、まあそこら辺はあえて考えないのがプロレス的で楽しいではないか。

大学生から33年後なので登場人物達は50代です。

物語はヤスオが愛犬ロッタの散歩中にユリの友達エミコにばったり再会するとことから始まる。

ヤスオはこのエミコとも過去に関係が有ったりして、まあプレイボーイなのだ。

その後エミコ伝に話を聞いたユリからFacebookをで連絡が来てユリとも再会するという流れ。

この話にはFacebookTwitter、LINEががっつり出てきてとても現代的です。

菊池成孔さんが、「韓流ドラマはこれでもかって程にネットやスマホSNSの事が物語の中に出てくるのに日本は主人公がスマホを握るような場面が殆ど無い事に違和感を感じる。」的な事を
書いていたが、確かにそうであり「今クリ」はそこら辺もしっかり描いてる辺りが流石である。(菊池さんは田中先生のファンだと公言している事も記しておこう。)

話は逸れたが大まかな流れとしては、この3人が再会を喜び、33年前を懐かしみながらも今の生活の苦悩や葛藤を曝け出し合いながら進む。

かなり社会的な内容でもあるが、個人的には50代になっても恋心、トキメキを忘れずに、初々しいやりとりを行う当時用人物達に惹かれる。

50代になってもヤスオはプレイボーイジェントルマンである。
少し女達に振り回されるのだが、そこがまた良い。

ゴリ押しではなく優しさと気遣いでモテてきた様子が伺われる。

最も印象的だったのはユリとの口づけシーン。

それまで何を考えているのか、ヤスオをどう思っているのか分からなかったユリだがその一瞬だけ感情を爆発させるのである。
そう、一瞬だけ。。。

まとめ


前作同様にサビとも言える1つのラブシーンにやられた。

引っ張って引っ張って焦らされて焦らされてガツッとキメるこの書き方はニクい。

正直社会的教養に乏しい僕としては途中退屈もしたがこの一瞬に全てを持ってかれた。

このシーンだけで読んでよかった。と思えました。

そして全体を通して元気でクリスタルな50代に元気を貰ったとさ。

最後に豪華な帯コメントより菊地さんのものを。
単なる後日談でも、アラフィフの群像劇でもない。 戦後日本の激変を流れるプルーストやジョイスにも似た小説内の時間感覚。クリスタルの紋章をペダントした平民という貴族たちによる異端社会小説、待望の続篇。——菊地成孔


そしてそんな菊地さんが一本取られた。と評していた壇蜜さんのがこちら。
飲んで集って恋をして…クリスタル族に終わりなし。450円のTシャツ着て、125円のカップ麺を啜りながら、33歳、ため息。——壇蜜




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